この木 なんの木

森の奥から時々記事が届きます。

未来人と僕らの夏(後編)


 後編です。


 前編では、夕陽リリさんの未来人という背景がこれまでの配信で遺憾なく発揮され、僕たちに感動を与えていたということを書きました。そしてこの後は、彼女の言う『古代人』である僕らとの関係、彼女の過去と現在と未来についてのお話をしたいと思います。前編と全く関係ないというわけではありませんが、かなり毛色が違う話になってしまいそうです。

 

 〇7月7日 会いに行くよ 七夕未来配信

 七夕。
 剣持刀也さん、伏見ガクさんとの通称『トリガー』でのコラボを終えた後、夕日リリさんは歌枠ということでMirrativでの配信を行いました。兼ねてよりリスナーからの要望もあり、彼女は謙遜しながらも素晴らしい歌声を披露してくれました。途中、楽曲に感化されたのか、グズグズになってしまい、中断する場面もありましたが、彼女の楽曲の選定眼と透き通った歌声がぴったりとハマった素晴らしい配信であったなと思います。

 僕としても歌枠を期待して配信を見に行っていたのですが、最後の曲を歌う前に彼女が泣いてしまったこともあって、少し配信自体が中断してしまいました(Mirrativとの交信が途絶えたというころもあります。) そうして彼女が落ち着いた頃、彼女はポツリポツリと話し始めました。
 

 この彼女の僕たちに向けたメッセージが余りにも感動的で、僕は今回の記事を書こうと思ったんです。終始僕はボロボロと泣いてしまっていて、なんだか悲しいやら嬉しいやら恥ずかしいやら切ないやら、もうわけのわからなくなっていました。

 

※できるだけ彼女の言葉をそのまま伝えたいのですが、読みやすさを考慮して少しカットしています。またとても長くなってしまうため、途中の彼女の強がる部分や鼻を噛むところなどもカットしています。


 
 私がこうしてここにいるのは、あのですね、私がにじさんじに入った理由っていうか、きっかけみたいな話をしていきたいんですけど。私、にじさんじに入る前に夢があったんです。

 夢、夢があったんです。夢があったんですけど、それがね。上手くいかなくて。すごく落ち込んでる時だったんですよ。そんな時にネットサーフィンしてたら、なんかにじさんじの広告っていうか、なんだろう。何かの記事を見つけて、それでにじさんじのオーディションを知って、『面白そうだな』と思って、『楽しそうだな』と思って。

 それで、それでね。ちょっと……ダメだよ……ちゃんとしゃべらなきゃ……

 そう思って、その場で録音して、オーディションをやったんですよ。それでここにいさせてもらってるんですけど。最初は割と自分のためだったんですよ、最初はね。楽しいこととか面白いこととかできたらいいなと思って。

 それで、だったんだけど、思った以上にここは、そうですね。皆さんとお話しできるっていうのは楽しくてですね。面白くて。で、にじさんじのメンバーにも、みんなにも助けてもらって。それでまぁ、私ここにいるんですけど。それで私も変わってきて、少しでも皆さんが楽しいとか面白いとか思ってくれたらいいなって。
 
 それで色々見たりして、色々勉強とかして。今までそんなに意識したことなかったんですけど、あの……日常のこととか、面白いことがあったら、みんなが面白いと思ってくれるかなって、意識して憶えるようにして。それで、今Youtubeとか配信をちょっとだけやらせてもらったりしてるんですけど。

 今となっては、そうだね。皆さんに何か面白いものを届けられたらいいなって。なんていうんだろう、結構、前向きな感情になれて。で。ちょっと考えて。諦めてたんですけど。もう一回、夢をね、頑張ってみようと思って。本当はね、まぁ私の、割と自分のための配信ってさっき言ったんですけど。まあそれでもなんか私の声とか話とか、誰かが私のお陰で元気になってくれるなら、いいなぁとか嬉しいなぁとか思ったんですけど。

 なんかね、なんかどうやら私の方が皆さんからすごく元気をもらってて、こうやって前向きになれ……コメント読めないよ。だから、そうだね。それがすごく嬉しくて、皆さんに『ありがとう』ってすごく言いたかった。言いたかったんだけど、上手く言えない……上手く言えないし。

 そう。そう、だから。これからまた皆さんにもっと良いものを届けたい。届いたらいいなって思います。皆さんに何か、元気が出てほしいなって思ってます。

 そう!それで!夏休み。夏休みにね。タイムマシンのアクセス権をいただけることになったので、古代に行けることになりました。そう、古代!行けることになったんですよ私!えへへ……まぁちょっとの間だけなんだけど。その間にいっぱい古代のことを教えてください。案内してください。これが美味しいよとか、これ面白いよとか。2018年のことについて、皆さんに色々教えていただければ嬉しいかなと思います。

 あのそれで、古代に行けることになったんです!それで、もしかしたら皆さんと直接お話しできる機会があるかもしれません。もしかしたらね。

 

 このメッセージを聴いて、彼女のことが好きでよかったなと思いました。そしてこれから、もっと彼女のことが好きになれるだろうなと信じることができました。心の底から。
 彼女は終始泣いていたわけではありません。最初こそ、歌に感化されて(本人談)泣いてしまっていましたが、途中から泣き笑いのような嬉しいのに泣いてしまう、そんな声音でした。そして過去のことを振り返り、現在の心境を語り、これから古代で僕たちと出会うと宣言したときには、もう泣いていませんでした。
 
 2018年が始まったとき、僕は今年も特に変わらない1年になるだろうなと思っていました。ただ僕を含めたVTuberの世界にどっぷりハマってしまった人は、もうそんなことは思えないでしょう。間違いなく2018年は最高の年になる。僕はそう確信しています。
 奇しくも平成最後の夏。未来人である夕陽リリが古代、つまり我々の住む2018年にやってきます。彼女はどこに行くとは明言していませんでした。北でしょうか。南でしょうか。どこか遠い町か。それとも、もしかしたらあなたの街かも。

 僕はこの夏、クーラーの効いた部屋を出て、少しだけ自分の街を歩いてみようと思います。もしかしたら見慣れたこの街のどこかに、ピンク髪の泣き虫な(彼女に怒られそう)女の子がいるかもしれないから。
 


 そうだなぁ……うん。だから、皆さん。皆さん……?そうですね、ちょっと言い方、変えますね。今画面の前で私のことを見ている『あなた』。あなたがいたから、夕陽はここにいます。夕陽は……がんばります。